当社は、宇都宮大学発ベンチャーとして、2017年12月に設立しました。代表取締役の塚原は、カラスの音声コミュニケーションに関する研究で博士号を取得し、学生・教員としてこれまで20年以上、カラスの研究を行ってきました。これまでの研究の知見を生かし、カラスによる被害に対し、追い払いなどの対策に加え、個体数コントロールの施策提案まで、トータルでカラスによる被害対策のコンサルティングや対策製品の開発・サービスの提供を行っています。
国立大学における20年以上のカラス研究から、カラスの生理・生態を熟知し、様々な被害現場において適切な対策を提案できます。また、学術的なエビデンスに裏付けられた対策の提案や製品開発を行っています。鳥獣害対策の特許を複数有する上、カラスの音声コミュニケーションを利用したカラス被害対策に関するノウハウを持っています。カラス被害対策に特化した会社は、当社が世界初で、そのユニークさから、これまで、NHKやドイツ公共ラジオ放送など国内外のメディアに多数取り上げられた実績があります。
「CrowController」(商標登録第6154728号)。
ごみ集積所でのカラスによる被害を防止する装置です。赤外線センサーによりカラスの飛来を検知し、スピーカーからカラスの鳴き声が再生されることでカラスを追い払います。実証実験では1年以上効果が継続しています。
『CrowLab音声ライセンス「だまくらカラス」』(商標登録第6521163号)。
追い払い効果のあるカラスの鳴き声を貸し出し、被害を軽減するサービス。駐車場等での糞害や畜産農家での被害など、広範囲での被害現場で効果を発揮しています。サービス開始から3年以上効果が継続しています。
宇都宮でベンチャーを立ち上げる前に、宇都宮大学17年間の研究成果を元に、カラス被害対策に関する事業展開をするため、カラス被害対策のコンサルタント活動、及びその製品開発に当たり、他社に対する差別化と知財保護の構築を図りたいとのことで当窓口に相談に来られました。
同社からの最初の相談は、カラス被害対策品について、発明をどのように特定し、特許要件(新規性、進歩性等)を検証すればよいかとの相談でした。特許権取得の目的を明確にして、技術的視点のみならず、販売面を構想しながら、権利範囲を検討すべきであることをアドバイスしました。
その後、当窓口の専門家(弁理士、弁護士)等と協働して、カラス忌避装置等に関する特許アイデアのブラッシュアップ、当該装置を用いたビジネスモデルの精緻化と知財化、共同開発による問題点の整理を行い、さらなる差別化を図るため自社ブランドの構築について支援を行いました。
また、特許「害鳥忌避装置」の権利化に向けての対応、ネーミング商標「だまくらカラス」の商標権取得、営業秘密管理規程の整備・運用を開始しました。
窓口の支援により、同社はカラス忌避装置に関してビジネス戦略に沿った特許出願、及びブランド価値を高める商標登録出願を行い、知財に守られた商品の販売を開始することができました。また、共同開発に関する契約についてアドバイスをしてから秘密保持契約(NDA)を締結され、撃退装置のグレードアップ化と契約に関する問題点の整理に取り組むことで、音声貸出サービスの大型契約や契約継続に繋がっています。現在では、全国20以上の自治体へのコンサル活動やサービス提供を行う他、電力会社や鉄道会社等のインフラ系企業、物流会社や農家等様々な業種へサービスを提供されております。さらに、カラスの行動制御技術について複数の会社と共同開発を始めております。
単に知財の権利化を目指すのでなく、その後の活用も考えた出願など、当社のビジネス戦略に有益な助言をいただきました。また、当社のブランディングに関してやパートナー企業との協業に関してなど、幅広く相談にのっていただいております。いつも親身な対応と的確な助言をいただき、大変助かっております。
宇都宮大のカラス研究の強みである警戒心を煽る鳴き声等のノウハウを駆使して、困っているお客様の要望に真摯に取組まれ解決策を提案されています。また、当初予想もしていない被害場所へ開発品の採用が繋がることで新たな展開も生まれています。今後は、カラス忌避装置の改良に伴う技術開発、事業展開に向けて引き続き支援してまいります。 (樋田 治三)
カラス被害対策製品の差別化と知財保護(914.3 KB)
掲載年月日:2020年1月 9日
更新年月日:2022年7月29日