当社は消防設備点検業務を主業務としており、お客様の建物の消防設備を適切に維持管理するお手伝いをさせていただいております。福井県の嶺南地方を中心に展開、取引をさせていただいております。
地元企業として多数のお客様と取引させていただいており、点検業務だけでなく、緊急時の障害対応において、24時間365日対応を実施しております。
今回開発した「火守くん」(商標登録第6169742号)は、火災時の早期発見、通報、避難を目的に、大切な財産の被害を最小限度に抑えるためにご利用いただきたい商品です。
一番のポイントはメールだけでなく、呼出音による「気づき」にあります。火災という重大な知らせを確実に通知するために、あえてメールだけでなく電話による着信音と音声案内による通知に注力いたしました。
主業務である消防設備点検などを手掛ける中で、火事の被害を最小限に抑える手段の一つとしてIoTを利用した迅速で正確な通報システムが解決策になると考えて、同社独自で開発を進めておられました。開発が進み知財保護の必要性を認識された頃、商工会議所の会報誌に折り込まれていた当窓口のチラシを見て相談に来訪されたのがきっかけです。
大規模施設を対象に火災報知設備とスマートフォンを連動した火災通知システムである「セーブライフ・ファイアシステム」(商標登録第5968444号)の特許出願に関する相談が窓口での最初の相談でした。専門家(弁理士)相談も活用された上で特許出願を実施し、早期審査も活用されて出願から1年で登録(特許第6051496号)となりました。
次いで一般住宅や小規模施設を対象とした導入コストを抑えた無線通知システム「火守(ほもり)くん」の開発に進みました。開発の過程で社内におけるシステムの開発に苦労されている様子が伺えたのでよろず支援拠点に連携依頼してシステム開発の助言を受けることになりました。よろず支援拠点への連携をきっかけに「火守くん」のシステム開発も進み、「火守くん」も現在特許出願中です。
また、出願書類における専門用語について当窓口で説明を行い、特許の内容をより深くご理解いただきました。
特許出願に関する相談以外にも、先行技術調査や特許出願に係る中間対応の相談など様々な場面で当窓口を活用頂いております。知財面では自社開発システムを特許群で保護する戦略を構築することができ、事業面においては「火守くん」の需要が増えてきて重要文化財への導入も決定しました。さらに、大手防災メーカーとの販売提携が実現し全国展開への道筋ができました。
今回の支援では何もわからないところから親切丁寧にご指導をいただきました。
おかげさまで特許の習得からライセンス利用まで、幅広い知識を教えていただき感謝しております。
まったくの素人でしたが、今後は知財をいかした会社経営と、商品の販売路線の拡大に利用させていただきたいと思います。
新聞や各種メディアで「火守くん」の取り扱いが増えており、販路開拓も順調に進んでいることをお聞きし、私も大変嬉しく思います。同社の開発したシステムで火災の二次被害が減っていくことを私も切に願っております。 (奥田 千鶴)
火災通知システムの知財保護と事業化(246.5 KB)
掲載年月日:2020年2月20日