当店は、1760年代(江戸中期)創業、1973年2月に設立されました平戸の老舗菓子店です。平戸銘菓「牛蒡餅」を主力製品に麩まんじゅう、カステラ、カスポール、オランダボーロなどの和菓子の製造販売をしています。当店の牛蒡餅は昭和44年、長崎国体平戸大会相撲会場に両陛下御幸啓の折、御菓子として数ある平戸銘菓の中より選ばれて献上の栄に浴しております。
厳選された原料と創業時から積み重ねてきた伝統と手造りにこだわった技術を今でも守り続けています。守り続けてきた技術を守りの経営ではなく、攻めの経営に生かしながら商品開発や海外に向けた販路開拓といった積極的な経営姿勢で取り組んでいます。
■二百年かすてら
暦代々伝承されてきた技術に、時代に合わせた改良を施し厳選された素材を使って職人が丁寧に焼き上げた逸品です。
地元平戸はもちろん、2019年には台湾へ2万本出荷の実績があります。
2018年に平戸商工会議所から台湾企業の紹介を受けたことを契機にカステラの販売を台湾でも手掛けた結果、大幅な売り上げアップへと繋がりました。
長崎県中小企業団体中央会から「ものづくり補助金」の承認を受けた企業などに対して、電話による当窓口の支援メニューの紹介を行っており、電話をきっかけに支援を開始しました。同社専務(当時)から「商標についてアドバイスしてほしい。さらにブランド戦略や海外展開におけるリスク対策についてもアドバイスをしてほしい」とのご相談をいただきました。
ブランド戦略の考え方・進め方について、デザインに精通した専門家からアドバイスを受けるとともに、商標権制度や出願商標の考え方についてアドバイスしました。専門家からの支援を受けつつ、ブランドコンセプトの考え方やブランドのイメージ作りが進められました。さらにブランド要素である出願商標が固まった時点で、専門家(弁理士)に国際出願についても相談しました。
その後は、台湾企業との取引契約書の作成についてもご相談があり、INPIT海外知的財産プロデューサーの支援を受け、海外契約書の留意事項について説明を受けるとともに、契約書締結の必要性について助言をいただきました。
同社は、海外展開における支援をきっかけに、模造品生産者が商品を無断で生産販売することで自社ブランドを毀損することから守るには商標登録による保護が大事であることを認識していただきました。また商標の取得だけに留まらず海外の業務提携先へ商標のライセンス契約をすることでマネタイズ化できるブランド戦略も検討中です。
今回、INPIT知財総合支援窓口の支援をきっかけに、日本国内、台湾で弊社の会社ロゴを商標登録できました。*中国へ国際出願中(2019年6月に出願)
コピー品などへの対策が迫られる昨今、まったく無関心であった弊社にアドバイスや支援をいただき大変助かりました。お陰様で余計な心配をせずに全力で事業に取り組むことができます。
今年専務から社長へとなった熊屋社長は、歴史と伝統ある和菓子店の看板を大事に守りつつ、海外などの新たな市場への参入にも積極的な姿勢でチャレンジしている頼もしい8代目社長です。今後、台湾を皮切りに中国、東南アジアなどへの海外展開も目指す中、知財面での海外リスク対策などのアドバイスを通じて応援していきたいと思います。 (古賀 貞博)
海外展開におけるブランド戦略(358.9 KB)
掲載年月日:2020年2月26日