株式会社道志化学工業所は、1971年に創業して以来、自動車用及び住宅用などのプラスチック部品の成形加工を行っています。そして、1988年に組立部門として都留工場を設立し、ダンパーなどのユニット組立を行ってきました。繰返し発生するクレームと向き合い、ヒューマンエラーによる不具合を防止するために、画像検査機やオリジナルアプリなどの開発及び導入を進めてきました。その結果、障害者や高齢者が活躍できる場を提供することが可能となりました。地域に住む人々をフル活用して、低コストで高品質の生産システムを構築し、社会から必要とされる会社づくりを目指しております。
ものづくり補助金を活用してプラスチック部品の射出成形におけるガス抜き工法の開発を行い、その技術を自社工場内の成形機に活用し、成形品の不良を低減すると共に金型のメンテナンス頻度を大幅に低減しています。
また、他社と共同で開発した成形監視システムを導入することにより、成形現場を見える化し、生産効率の向上を図っています。
さらに、開発したガス抜き工法、成形監視システムについては、他社への技術提供、システムの外販を進めています。
円柱状のピンの軸方向に沿って溝部を設けると共にその部分の断面形状を十字状とし、面取りがされた形状が特徴のエジェクタピンです。
このエジェクタピンは樹脂から発生するガスが大変良く抜けるため、他と比べて極端にガス汚染されますが、その分、成形品の外観は向上し、金型のメンテナンス頻度を大幅に低減することができます。
この特殊な形状のエジェクタピンを金型の空間内に突出させて、大きなガス抜き開口部を形成して、大量のガスを金型外へ排出し、樹脂の充填直前に閉塞することで、樹脂の流入を防ぐ新たな工法も開発しました。
この技術は、成形機メーカーを介して技術提供(実施許諾)されるようになっております。
参考:株式会社ニイガタマシンテクノ(https://n-mtec.com/publics/index/221/)
平成24年度ものづくり補助金に応募し、採択された樹脂成形におけるエジェクタ制御によるガス抜き工法の開発を行い、そのめどが立ちつつある段階で、具体的な特許取得について支援の依頼を受けました。
特定の形状のエジェクタピンおよびその制御により、ガス抜きによる効果が検証できたのとのことで、エジェクタピン、射出成形金型及び射出成形方法の特許権取得に関し、専門家(弁理士)を活用して、有効的な特許を取得するための総合的な支援を開始しました。
その後、当窓口を積極的に利用されるようになり、引き続き、専門家(弁理士)を活用して権利取得のための支援を行い、結果として、自社技術を保護する有効な特許権を取得することができました(特許6152372号)。
この特許権の他社へのライセンス及び使用するエジェクタピンの外販に際し、商標登録支援を行うと共に成形機メーカーを介しての特許権実施許諾に関し、専門家(弁理士)を活用して契約書の改定の助言を行いました。
成形機メーカーを介しての実施許諾を行っており、さらにその他の企業に対する実施許諾の交渉も始まっています。また、成形監視システムの外販に関連して、それに付すロゴマークの商標登録出願も行いました。これらの試作開発した技術に関連して、工場見学の申し入れを受けていますが、機密情報の管理について今後の検討課題として認識されているところです。
射出成形機のガス抜き工法の特許取得、取得した特許権の他社への許諾のための契約書の見直しなどに関し、継続して支援いただき、ありがとうございました。
いまだ、周知不足の状況ですが、業界で評価を受ける可能性がある商品のため、今後ともご支援をお願い致します。
同社は、新規開発、及び社内への展開のみならず、他社の許諾、システムの販売に積極的に取り組まれており、今後も、知的財産に関する支援を継続していきたいと思います。 (望月 賢治)
知財を活かした取引先との関係強化(335.0 KB)
掲載年月日:2020年3月 3日