当社(Useful Machine Designers)は、「人、社会の進歩発展に貢献すること。常に創意工夫に努めること。」を経営理念とし、機械設備の設計メーカーとして、島根県の製造企業の設備要望に応えながら、地域産業の発展とともに歩んできました。具体的には、農水産関係の製品開発を行い、一次産業商品の加工の合理化に貢献してきています。一方、県内企業数社で結成した企業協同組合「ブランディングネットワークしまね」のメンバーとして、新しい考え方で県内一次産品をブランド化し、そこに当社の技術を活かしていきたいと考えています。
地域未利用資源の活用、災害対策品の開発など、広く地域の社会的な課題に対してテーマをもって事業を推進しています。試験研究の検討、特許/商標などの権利化、製品デザイン検討、PR資料作成などの活動により、最終の消費者につなげる一環したブランド戦略を、「ブランディングネットワークしまね」の中核企業として推進しています。
具体的には地域未利用資源であるクロモジやヒノキの炭の商品検討、魚貝の塩干物製品の市場開発、くるまのヘッドライトの照明を災害時に活用する「くるまでライト」の商品化など、地域の社会的テーマを主体に活動しています。
令和2年2月のTVショッピングを皮切りに販売開始したヒノキの炭「古来炭」が一押し商品です。古来炭は、出雲地方のヒノキ材を伝統工法で丁寧に焼き上げ、精選した炭です。このヒノキの炭を解析すると綺麗に配列された格子穴が無駄なく並んでいます。このハニカム構造が不純物を吸収して驚くべき脱臭/調湿性能を発揮します。特に、炭は焼成温度によりpH値が変化し脱臭性能が変わる特性がありますが、「古来炭」は低温と高温でじっくり焼いたヒノキの炭を効果的にブレンドすることで、酸・アンモニア何れの臭いも吸収し優れた消臭性能を発揮します。
同社は、地域の特産品を加工する機械設備を開発してきましたが、需要が減少してきたことから、機械設備で作られた商品に新しい価値を付けて首都圏等に販売することを計画されました。しかし、同社1社では難しいため企業協同組合を設立して新しい事業を進める準備をされていたところ、組合のメンバーから当窓口を紹介され電話相談されたのが窓口活用のきっかけでした。
最初の相談は平成29年で、県の中山間地域で焼かれている「ヒノキの炭」を使用した消臭商品の販売戦略についてであり、研究機関と連携した脱臭力データーの取得、商品の優れた点を直接説明して販売が可能な販路開拓の必要性等について支援しました。その2年後の令和元年12月にブランディングネットワークしまねが販売者となり、「ヒノキの炭」をCS放送のTVショッピングで販売するとの連絡を受けました。
TVショッピング成功の一助になればと、先ず「ヒノキの炭」のブランド名「古来炭」の商標登録出願(商願2019-126548)を支援しました。次にブランドに精通した専門家を活用して、ブランディングネットワークしまねのホームページデザイン変更(TVショッピング内容に沿ったブランドイメージ変更及び脱臭検証データー掲載によるPR効果の向上)、パッケージデザインの変更等を支援しました。また、よろず支援拠点と連携してTVで学術的説明ができる適切な人材紹介、更に特許は未出願であったのでTVでの公開技術の厳選と技術ノウハウ秘匿等について支援しました。
今回の支援を通じて知財の重要性を一層認識されたのはもとより、更に炭の島根ブランド化を目指して県内他企業との連携、県産炭の確保のため、同社と県の研究センターとの共同による炭焼き業者向け説明開開催など、積極的に活動されています。テレビショッピングの売り上げとして初回で約700万円、その後2回の実施で約1,300万円の実績をあげておられ、ブランドの定着を図るため今後も定期的に実施予定のことです。
ヒノキの商品の検討にあたり、知財総合支援窓口には、特許などの権利化のための試験研究の基礎検討の助言、またデザインやPR資料などの助言をしてもらいました。また、地域連携や企業連携などの助言も頂き、ヒノキの炭のブランディングの総合的支援をしていただきました。そのご支援のおかげで、市場に紹介できる製品に育ちつつあります。今後とも、ご支援をお願い申し上げます。
テレビショッピングを利用した周知効果を生かして地道に販売活動を継続されておられます。その他、地域未使用資源の商品化検討、及びブランディングについても引き続き支援していきたいと思います。 (新谷 佳弘)
ヒノキの脱臭炭の開発とTVショッピングの支援(1.1 MB)
掲載年月日:2020年3月26日
更新年月日:2022年8月17日