当社は、保険調剤薬局事業として2017年に創業し、地元住民の健康と医療貢献をすべく開業しました。当社は『かかりつけより、行きつけに。選ばれる薬局を目指して』をスローガンに、患者さんの真の声を聞ける薬局でありたいと日々研鑽しております。
地域貢献をすべく薬局事業を営みながら、患者さんのアドヒアランス向上による健康増進と医療費拡大阻止のため、残薬削減・医薬品ロスにもチャレンジする企業です。
「対物から対人へ」薬局のあり方を変えることが求められているなか、当社の強みは、15年間の製薬メーカーでの営業・戦略企画の経験を活かし、患者さんの本音に寄り添い、多数のかかりつけを任されている事です。つまり、患者さんとの会話を重視し、患者さんの背景となるライフワークを鑑みながら医療貢献を推進できることです。その延長線で今回の新商品「お薬束」は誕生しました。患者への一方的な服薬指導の押しつけでなく、「薬の飲み方、その実態」についてヒヤリングを重ねることで、真の課題とニーズを顕在化することができました。
当社の一押し商品は、『お薬束(おやくそく)』です。
名前の由来は、薬を束ねて使える簡便性と、“薬を飲む事を忘れないでほしい”思いで、名付けました。
特徴は
①薬包を切らずに充填できる
②使うときに、“引っぱって切るだけ”
③箱型で収納にも便利
現在は、ハサミを使って、片麻痺の方にも自助具としてお使いいただいています。こちらの特許もINPITの方々にご協力いただきました。
薬を飲む煩わしさ、受け身的・義務的に服用する不自由さ、生活になじまず習慣性がつけられない。など、様々なお困りごとに解決できればと願っています。コロナ禍、定期薬の継続は重要です。飲み続けられる意思と習慣化にお役立てれば幸いです。
・特許第6876212号/商標登録第6266717号
薬局に来られる方々の服薬自体が便利になる服薬用の薬包を収容する「薬箱」について、知財保護を図りたいので、助言が欲しいと相談に来られたのがきっかけです。その後、当窓口をご利用いただくことになりました。
持参された「薬箱」の開発試作品を見ながら、開発の動機や思いを伺い、先行技術調査のやり方のアドバイスや、発明ポイントの整理などの支援を行いました。また、自力で特許出願をしたいとのご要望に応じて、特許出願に向けて支援することになりました。
その後、先行技術調査支援から出願作成支援を行い、最終的には専門家(弁理士)による助言も受けて特許出願に至りました。製品化に向けてのモノづくり支援として、滋賀県よろず支援拠点、滋賀県工業技術総合センター(公設試)、滋賀県産業プラザ、滋賀県知的所有権センター等との中小企業支援機関との連携支援を行うとともに、補助金制度の紹介、金型による製品作成検討、3Dプリンターによる試作品作成への助言を行いました。商品化の検討に当たっては、他社との秘密保持契約に関しての専門家(弁護士)の支援を行い、紙製タイプとプラスチック製タイプの新規な形態の改良品を考えられたため、二回目の特許出願の支援をしました。その間に、事業展開や事業進捗に向けた専門家(中小企業診断士)の支援も行い、製品の最終形状が固まった段階で、意匠登録出願・商標登録出願の支援も行いました。
当初の相談から上市まで約1年ですが、知財保護への理解をして頂き、知財をベースにしながら事業展開を進められました。薬箱の「お薬束」を使用される方々だけでなく、同業者の薬局にも活用してもらえるように、幅広く事業展開を考えながら、それに応じた事業戦略を計画・推進されています。
開発のきっかけは、廉価なグッズを集めて作った「工作」でした。それを持って知財総合支援窓口に赴き思いを伝えて以来、おかげさまで様々な専門家に教示を受け特許申請、意匠登録出願、商標登録登録を経て商品化に至りました。薬局業務専門の当社でも、患者さんの役に立ちたい思いで発案したモノが商品化できたのは知財総合支援窓口という存在がなければ実現しませんでした。このお薬束が広く患者さんに使用され貢献することが、知財総合支援窓口をはじめお世話になった方々への感謝の意を表せることと思い、日々精進いたします。
薬局に来られる方々とのコミュニケーションを大事にされ、そのお客さんの声を真摯に受けとめられ、それに対する解決策を発案されて、そのアイデアを知財で保護される努力や、上市に向けた商品づくりに向けた推進力には敬服致します。上市されましたが、今後も経営課題に即した知財支援を行いたいと考えます。 (吉井 映滋)
お薬箱の上市に向けた知財支援(585.8 KB)
掲載年月日:2020年3月18日
更新年月日:2022年8月10日