当社は、木材住宅の構造材メーカーとして常に環境のことを考え、より良い部材を安定して供給することを最大の使命と考えてきました。そのため、原木は北米で計画的に植林し再生するサイクルが確立されたベイマツを用いた乾燥材「ドライ・ビーム」を住宅市場に向けて供給してきました。
また国内林業の衰退や森林の荒廃といった問題にも取り組み、従来利用が難しいと評価の低かった国産スギを有効利用する為に、強度に優れるベイマツと組み合わせた異樹種集成材「ハイブリッド・ビーム」を開発し、国産材の利用拡大にも積極的に取り組んでいます。
当社は、原木輸入からプレカットした製品まで一貫した工程を行い、独自の物流網を築くことで、良い製品を徹底的にコストダウンして供給しています。
国産材製品への取り組みにも力を入れており、生産拠点にはバイオマス発電を併設し使われない部分は燃料として、乾燥材生産の熱源および発電に有効活用するなどゼロ・エミッション(ゴミ・ゼロ)を目指し、木質資源を最大限に活かす仕組み作りに力を入れております。
お客様の望まれる製品を多品種、即納にて供給するための体制づくりに誠意を持って取り組んでいます。
「2019年度グッドデザイン賞」、「ウッドデザイン賞2019(建材・部材分野)」及び「日本DIY協会商品コンテスト2017新商品部門金賞」を受賞した「カフェ板」は、良質な国産杉の無垢乾燥板材であり、厚く幅広で無垢材特有の経時変化や長期使用を前提として耐久性向上を考慮した特殊形状デザインを施しています。
この特殊形状は「意匠登録第1607544号」、名称は「商標登録第6069079号」で保護されています。
用途は土足用のフロア材およびDIY部材など自由で、さらに補助パーツの「リノベ柱」と組み合わせれば容易に間仕切壁が形成できます。
国産材の需要を作り出さないと山は植え替えができず、これが花粉症の原因でもあるスギの増加に繋がることから、同社はスギ厚板の「カフェ板」を開発し試験販売を実施しました。発売した「カフェ板」の売れ行きが良く、「日本DIY協会商品コンテスト2017新商品部門」で金賞を受賞したことを機に、さらに受注が増えてきたので、これを知財で守る必要があると感じ、当窓口のWEBサイトを見てお電話にて相談がありました。
2017年5月に発売した「カフェ板」が「日本DIY協会商品コンテスト2017新商品部門」で金賞を受賞し、商品名「カフェ板」を商標で、形状を特許で守りたいとのご相談が最初の相談でした。
形状が単純なため、特許では形状の特徴部分を数値限定で権利化ができるか厳しい状況であると思われたため、専門家(弁理士)からアドバイスを頂く様にしたところ、専門家(弁理士)からの適切なアドバイスを受けて意匠登録出願することを決断し、権利化を進めることとなりました。
特許でなく、意匠で守れる可能性が高いことや、製品化から3カ月以内であったため、新規性喪失の例外適応を受ければ出願が間に合うことを助言しました。さらに、商標については先行商標調査の調べ方や出願書類の書き方のアドバイスを行いました。知財の知識が身につき、その後に開発された製品の商標も自ら出願し、登録されました。
「カフェ板」はサイズと形状を一種類に限定することで、従来の住宅用構造材を生産するラインを有効活用してコスト面、品質面で輸入材に負けない価格で提供できております。
全国の大型ホームセンターで取り扱われており、販売開始から2年で25,000枚/月の受注状況となり現在設備を増強中です。新設備が稼働したのちは年間60万枚の売り上げを目指します。
アドバイスを受けて、この製品を知財で守ることができ、海外からの類似品におびやかされず国産杉で展開ができております。
日本の山林を守り、スギ花粉をなくしたいという信念もあり、さらに相談者自らの勉強意欲があり、理解力・決断力・行動力の賜物で、広島本社との調整も速やかに進み出願・権利化できました。その結果、他社の追随なく知財で事業が守れていることがうれしく思います。 (木内 正佳)
国産木材製品「カフェ板」を知財で保護(818.9 KB)
掲載年月日:2020年3月26日
更新年月日:2022年9月 7日