窓口支援事例
合同会社一級さん
意匠商標事業・経営

着物の着付けを変える衿芯の商品化

企業情報

所在地
香川県綾歌郡綾歌町
ホームページ URL
https://www.kimono-1.com/
設立年
2018年
業 種
製造業
従業員数
2人
資本金
300万円

企業概要

 着物を美しく着こなすポイントは衿(えり)にあるという。そこで、和裁士の村瀬真智子さんは、衿を美しく着こなせる画期的な商品を開発しました。一般的に衿芯は80cmほどの1本の細長い板状だが、村瀬さんは長さを55cmほどにして同じもの2枚1組で使うことを思いつきました。このアイデアについて特許権(特許第4979028号)、意匠権(意匠登録第1406085号)を取得し、5年の歳月をかけて商品化に成功しました。商品化に引き続き事業展開を考え、この商品の製造・販売を主力とした合同会社一級さんを2018年に設立しました。

自社の強み

 呉服店で接客したとき「衿の幅より衿芯が細いから、衿芯が当たっていない部分がしわになる」という悩みを聞いたことが2枚1組で使用するピッタリ衿芯の発想の原点であり、衿芯の幅が合わず、しわの原因になっていたことは現場の体験から明確に把握していました。この悩みを解決する製品を開発すれば商品として売れる、という確信をもって事業をスタートすることができたのは、和裁士として顧客と長年の接客経験があるからです。顧客のニーズに合った商品を開発し、その商品を産業財産権で守り、事業を発展させていくことができるというスキルを有しています。

一押し商品

 「衿の幅より衿芯が細いから、衿芯が当たっていない部分がしわになる」という悩みを解決した商品が「ピッタリ衿芯」だ。左右それぞれの衿先から1枚ずつ衿芯を入れれば、衿のどの部分でも幅いっぱいに衿芯が当たる。という優れもの。ピッタリ衿芯は基本タイプと自分の衿の幅に合わせてカットできるフリータイプのものを販売しています。(特許第4979028号)(意匠登録第1406085号)(商願2018-135337号、商願2019-111394号)

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 以前より当窓口でバチ衿の特許権の取得(特許第4979028号「バチ襟型形状の衿芯」)、意匠権の取得(意匠登録第1406085号「地衿」)を支援しており、その商品化の支援を行いました。

最初の相談概要

 バチ衿についての製品化に目途がたった時点で、事業化の相談があり、中小企業支援センターが募集した創業者補助事業に応募するようにアドバイスし、よろず支援拠点と連携し、支援を行いました。また、事業化を一層進めるために、香川県綾川町の創業支援補助制度に応募するようにアドバイスし、支援を行ったところ、採択され、合同会社一級さんを設立。並行して、よろず支援拠点と連携し特許権・意匠権を取得したバチ衿製品の商品化、事業化を支援しました。

その後の相談概要

 バチ衿製品の販路拡大として京都の卸業者や呉服商の大手業者との販売契約について支援を行いました。また、販売においてブランド化を目指すため、「ピッタリ衿芯」というネーミングを考え、文字及びパッケージデザインのロゴの商標登録出願(商願2018-135337、商願2019-111394)も支援しました。会社設立前に特許権、意匠権を取得し、商品化の準備を進め、商品化のめどが立った時点で創業補助事業の支援を受け、2018年に法人を設立したベンチャー企業です。特許権・意匠権を核とした商品は画期的な和服の衿芯として和服業界に受け入れられ、大手の呉服商社からの販売契約を交わすことができ、全国展開を進めています。事業の今後の進め方として、衿芯にとどまらない更なる商品メニュー展開のため、新しい形状の和装下着の衿を開発し、意匠権を取得し(意匠登録第1636172号)、商品化を進めています。これらについても継続して支援を行っています。

窓口を活用して変わったところ

 自社が編み出したアイデアを特許・意匠という産業財産権として取得することにより、独占的な商品を製造・販売できているという経験から、小規模の事業主でも産業財産権を取得しておけば、大手の業者と対等に取引できるという認識を持つようになり、新しい事業においても産業財産権への取り組みが熱心です。


企業からのメッセージ

 知財総合支援窓口を利用することで、特許出願・意匠登録出願・商標登録出願を自社で出願できるようになり、新商品については必ず権利化を検討するようになりました。今後も、知財総合支援窓口を利用し、知的財産の権利化、知的財産の活用を図っていきたいと考えています。

窓口担当者から一言

取り扱っている商品の性格から新商品の権利化は欠かせないことであり、また、模倣が多い業界であり、他社との差別化は企業の生き残りとして重要な事項と思われます。商品化が進んだのは一種類の商品だけであり、メニューを多くすることが企業としての生き残りの術ですので、今後はメニューの数を増やす方向で事業を進め、継続して知的財産の活用を図ってください。 (辰野 勇)

着物の着付けを変える衿芯の商品化(259.9 KB)

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掲載年月日:2020年4月15日

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