当店舗は、岩手県の観光地である「八幡平」(はちまんたい)が真正面に見える眺めの良い場所にあります。
八幡平市にある牧場の搾りたての新鮮な生乳を自社工房で低温殺菌して作るオリジナルアイスを提供しています。また、アイスクリームの他に、地元食材を使った軽食も提供しています。ピザ・パスタ・ベーグル・マッシュルームスープ等も好評です。店名である「ノレグレット」は、八幡平地方の方言で「末広がりにいっぱいになる」という意味です。
「ノレグレット/nollegretto」(商標登録第6149438号)
八幡平市の生産者とのコラボでつくる地産地消のアイスクリーム。
主に八幡平市で生産される旬の果物や野菜等を素材として使用すると共にその素材の美味しさを最大限に引き出すために加工する製法にも工夫をこらしています。そのため、商品のバリエーションが豊富です。
その中でも良質な生乳を81%以上使用したソフトクリームは、生クリームをホイップしたようなフワフワ食感が特徴です。口当たりがよく、生乳本来の甘味や旨味が感じられます。濃厚でありながらさわやかな後味で、まるで食べる牛乳のようです。
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)が開発した高アミロース米のゲル状加工技術を利用することで、乳化剤・安定剤を使わないジェラートやアレルゲン・添加物ゼロのソルベ等の商品開発にも成功し販売を開始しました。このことで、これまでアレルギー等の理由でアイスクリームを我慢していた多くの人にも食すチャンスを提供することができるようになりました。
高アミロース米のゲル状加工技術を利用するに当たっては、農研機構と特許権に関するライセンス契約を締結しています。
地元八幡平市産の「高アミロース米」(血糖値の上昇を穏やかにする低GI食品)のゲル状加工品を使用したアイスクリームを開発するに当たり、特許権侵害の問題がないか確認したいとの相談を受けたのをきっかけに支援を開始しました。
開発・商品化に当たっては、「高アミロース米」のゲル状加工技術の特許権の存在を確認する必要があることを説明すると共に確認の仕方について説明しました。確認した結果、この加工技術については、農研機構が特許権を所有していることが判明したため、ライセンス契約の必要性や契約するに当たっての留意事項について助言を行いました。
その後、相談者はライセンス契約についてやり取りを行い、無事契約することができました。契約後、このゲル状加工技術を利用した商品の開発を行っていましたが、ついに令和元年の夏、乳化剤・安定剤を使わないジェラートややアレルゲン・添加物ゼロのソルベ等の開発に成功し、販売を開始しました。
また、この相談をきっかけに、ブランド・デザインに精通した専門家を活用し、この開発中の商品を含めた事業全体のブランディングやロゴのデザインについて助言を受け、ホームページやパッケージのリニューアルを行いました。さらに、新しく制作されたロゴデザインの商標登録に係る出願手続きの支援も行い、無事登録となりました。
相談者は、知的財産の重要性に気づかれ、知的財産を活かした商品開発やブランディングへの活動を積極的に行われ、HP・パッケージデザイン・梱包箱等をリニューアルされました。最近は、これらの活動の成果もありメディアに取り上げられる機会も増え、認知度・評判共に向上してきています。
窓口を活用させていただいたおかげで、商標登録出願や特許権の実施許諾契約の手続きがスムーズに行うことができ、かつ知財財産権への知識が向上し有益な情報を得る事ができました。今後も引き続きご指導の程よろしくお願い致します。
相談者は、「八幡平の恵まれた環境で育った素材を活かしたい」、「アレルギー等の理由でアイスクリームを食べることができない人にも食してもらいたい」といった想いを込めて商品作りを行っており、今回行った知財活動もその一環でした。商品開発やブランド作りに、知財活動という調味料を使うことで、事業活動に当初考えていた以上の味を付けることができたと思います。次の展開も考えられているようなので、当窓口を引き続き活用していただきたいと思います。 (中嶋 孝弘)
アイスクリーム屋さんへの新商品開発・ブランド支援(404.6 KB)
掲載年月日:2019年10月17日