やすりの新たな可能性を探して　ペット用品への展開

企業情報

所在地: 広島県呉市
ホームページ URL: https://www.wataoka.co.jp/
設立年: 1967年
業種: 製造業
従業員数: 9人
資本金: 1000万円

企業概要

　呉市仁方のヤスリつくりは日本の工業化とともに成長し、第二次世界大戦後の復興期を経て、シェア９５％といわれるまでになりました。当社のやすりは創業以来１００年以上にわたって培ってきた確かな生産技術と、「良い道具を作る」という誠実な志が認められ、多くのプロに使われ続けています。工具としてのヤスリの他にもヘルスケア用品、ペット用品の開発を行っております。
　これからも、お客様のより良い仕事のパートナーとして、両刃ヤスリをはじめとする多様なヤスリを提供してまいります。

自社の強み

　「快い切れ味」、「小刃の薄さ」、そして「耐久力」を兼ね備えた両刃ヤスリの製造で培った確かな技術を基に、ヤスリの特徴を活かした商品の開発を行っております。
　「削る」以外の用途、ヤスリ材以外の素材を使用する事を視野に入れアイディアを出すことで、商品開発を進めています。少人数で運営しておりますが、ネットワークを活用しながら外部との連携を行い、その時々に必要なチームで開発を行っており、その結果、ステンレスや樹脂でのヤスリ作りを可能にしヤスリの可能性を広げています。

一押し商品

　ねこがうっとりとろける不思議な道具「ねこじゃすり」（商標登録第６０２８９６７号）
　猫の舌の表面はザラザラしていて、毛をからめとるブラシ（毛づくろい）の役割があります。猫の舌で舐められると痛いのは、舌の表面がヤスリのような構造になっているからです。同社のヤスリの技術を生かし、猫の舌を模したヤスリ面を全面に施した猫用ブラシ「ねこじゃすり」で猫をなでると、毛づくろいと同じ効果が得られ、通常のブラシでは得られないようなリラックスした状態となります。猫とのコミュニケーションツールとして大好評となっており、年間50，000本を売り上げたヒット商品となりました。

知財総合支援窓口活用の概要（記：窓口担当者）

窓口活用のきっかけ

　同社は公益財団法人くれ産業振興センター（以後、「くれ産業振興センター」）の支援を受け、「ねこじゃすり」の開発を行ってきました。製品化に当たって、知的財産権での保護の必要性を感じ、くれ産業振興センターのコーディネーターより、紹介がありました。

最初の相談概要

　「窓口に相談する以前に出願していた特許が拒絶査定となってしまったが、何とか権利化できないか」との相談がありました。先の出願では明確に示せていなかった効果や、その効果を奏するための構成などを確認しながら検討を行い、専門家（弁理士）からも助言を受け、最終的には新たな特許出願を行いました（特開2019-024459）。

その後の相談概要

　製品形状及び商品名称や同社のロゴについても権利化の必要性を認識され、意匠及び商標の権利化について専門家（弁理士）を活用しながら、自社で出願を行いました（商標登録第６０４５２９０号他2件、意匠登録第1610859号）。また、製品のヒットに伴い、模倣品が多数出回るようになり、取得した商標権や意匠権を活用して通販サイトからの模倣業者の排除依頼及び税関での差止の手続きを進めています。

窓口を活用して変わったところ

　商品を開発する上での知的財産権の活用について、専門家（弁理士や弁護士）との協働支援を受けていただいたことで、同社での知財意識が向上し、知財の活用を見据えた活動が出来てきています。社内での人的リソースがまだまだ足りない中、支援機関や専門家など外部人材をうまく活用しながら事業を進められていると思います。

企業からのメッセージ

　弁理士事務所への相談は敷居が高く、開発段階では知的財産への対策費用が捻出できない事もあり対応は後回しになっていましたが、窓口担当の方のご指導により書類作成から出願まで行えたものもあります。さらに、難しい案件には専門家をご紹介いただき都度、問題解決できました。
　無料相談とは思えないほどにサポートが充実しており大変助かります。